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「デフレ病」退治の戦略で民主と自民は競え

2009/09/21 14:22

 

 菅直人国家戦略担当副首相は複数年度予算を言い、藤井裕久財務相は景気対策のための二次補正を示唆する。景気をよくすることは当然のことだが、対症療法ではなく根本から日本を元気にするマクロ経済政策を複数年度の戦略で打ち出すべきだ。

自民党も再生をめざすなら、日本経済の構造に合わない市場原理主義をきっぱりと放棄して政府の役割を再定義し、脱デフレ戦略で民主党に先駆けるべきだろう。

【国際政治経済学入門】新政権は「デフレ病」を退治できるのか

07:10産経エクスプレスから

 民主党主導の連立政権がスタートした。政権交代の真の意義は、自公政権が不作為に終始したデフレ病克服にある。鳩山政権は経済のパイ拡大を目指すことを大目標に設定し、必要な政策を総動員すべきだ。

歴史的にみると、国家をリードする経済哲学は二分されてきた。政府の役割を最小限に抑え、民間の市場原理にまかせればよい、という市場原理主義と、政府が経済拡大のために大きな役割を果たすケインズ主義である。

《負のスパイラル》

1年前の「リーマンショック」により、米国消費者の購買力の3割以上が一挙に消滅した。米国はもとより日本、中国などの輸出産業も巨大な供給過剰に陥った。放置しておくと、製品価格は下がり続け、企業は破綻(はたん)し、失業者が街にあふれだす。すると需要はさらに縮小し、倒産と失業増が加速する。「デフレスパイラル」と呼ばれる現象である。そこで政府が国債を大量発行し、貯蓄マネーを吸い上げて社会資本や雇用対策に投入する。財政出動を呼び水に民間の投資や消費を促し、デフレ不況突入を避ける。米国も欧州も中国も躍起(やっき)となっている。

日本の場合、1990年代初めにバブル崩壊し90年代後半以降、物価が下がり続け経済成長がゼロになるデフレ病にかかっている。時の政権は当初、公共投資の拡大を試みたが、「財政均衡」を求める財務省官僚の声に促され、橋本龍太郎首相(当時)が1997(平成9)年に消費税増税など緊縮路線に転換すると、経済はデフレに舞い戻った。橋本政権を引き継いだ小渕恵三首相(当時)は再び財政支出を拡大させたが、効果が出ないうちに病に倒れた。2001年には「民のものは民に」という小泉純一郎政権が登場し、市場原理主義へと大転換した。族議員霞が関官僚による非効率で肥大化した日本経済を構造改革するという主張は国民やメディアの多くの支持を集めた。

《自民の無為無策》

ところが、デフレ病は一向に改善しなかった。景気のほうは円安に支えられた輸出産業の競争力再生により好転した。小泉政権は所得税の配偶者特別控除や定率減税を廃止し、財政均衡を図った。96年度に約40兆円だった公共投資は08年度に約20兆円まで減った。結果は税収減で、政府は国債発行で財政赤字を穴埋めすると同時に増税に追い込まれた。結局小泉政権時代、国債発行残高は278兆円増えた。政府は小さくなるどころか逆に大きくなった。地方交付税交付金も削減され、地方の疲弊もひどくなっていった。社会の活性化どころか若者の貧困化、自殺者の増加など世相も暗くなった。

「小泉後」安倍晋三福田康夫麻生太郎の各政権はこの成功体験に足をとられ、デフレを放置した。麻生政権はリーマンショックを受けて、緊急財政出動に踏み切ったが、緊縮財政論の与謝野馨財務相にひきずられて、均衡財政や消費税増税にこだわり続けた。総額15兆円もの追加経済対策も、官僚まかせの役所関連施設の寄せ集めが目立ち、迫力に欠けた。

先の総選挙での自民党の大敗北の根本原因は、デフレ病というバブル崩壊後10年以上もの間の宿痾(しゅくあ)に取り組もうとしなかった無為無策にあったとも言える。

《課せられた歴史的使命》

民主党主導の政権はデフレ病を退治できるだろうか。民主党大勝利を生んだのは、小泉政権以来の格差問題や社会保障負担増にあえぐ有権者に対し、個別の生活支援を乱発、公約する戦術による。しかし、国民の活力をそぎ、閉塞(へいそく)させる元凶になっているデフレ病に対して、処方箋(せん)を示してはいない。

藤井裕久新財務相は「財政均衡至上主義」にとらわれない考え方を表明しているが、デフレ問題には言及していない。国家戦略・経済財政・科学技術担当相の菅直人副首相は「脱官僚依存」を指揮するが、単に官僚から予算権限を取り上げ、「政治配分」をアピールするだけなら、財政支出は混乱し緊縮財政と同じ影響が生まれむしろデフレを悪化させかねない。

経済のパイを拡大する成長戦略を作成し、思い切った財政出動と、それに連動する金融政策を動員してデフレから脱出する。これこそが鳩山政権の歴史的使命だ。
(特別記者・編集委員 田村秀男/
SANKEI EXPRESS

 

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コメント(8)

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2009/09/21 17:08

Commented by maru145san さん

世界が資源インフレ製品デフレの環境で日本単独でデフレ環境を脱出するのは困難ではないかと思いますがね。
乗数効果の高い政策を期待したいが、今のところ単なる「ばら撒き」でしょう。「子供手当て」も親がパチンコで使えばそれでお仕舞いだし。

「所得移転」についても書いて欲しいですね。金融資産の大部分を占める高齢者はその資産を貯金という形で死蔵している訳だから、子供や孫の「いま、お金が必要な世代」にお金を移動させる政策も論じられて良いのではないですか。

 
 

2009/09/25 19:04

Commented by いすけ屋 さん

産経では政治問題は別ですが、経済部門では唯一と言っていいほど、田村さんの記事が信用出来、ためになります。
産経は小泉構造改革を絶賛し、その基調はいまだに変わりませんが、結果がでているのに、女々しいです。いちど総括すべきです。
民主党はそこを是正して内需拡大に向かおうとしているようですが、個人を対象にした支援は政治ではご法度のはず・・。
財政出動は評価しますが、半分は貯蓄にまわるでしょう。
経済政策としては最低です。けっして景気は良くならないと思いますよ。

 
 

2009/10/11 19:30

Commented by 故郷求めて さん

小泉時代に国債発行残高が278兆円増えたというのはどこから取った数字でしょうか?

普通国債の残高は平成12年末で368兆円、平成17年末で527兆円。差し引き159兆円です。

財投債を加えた数字で比較するなら、郵貯や簡保からの預託も含めた財投残高の合計で議論しなくてはいけません。

この数字を見ると、平成12年末で796兆円、平成17年末で840兆円、差し引き44兆円に過ぎません。

普通国債の発行額を減らすことには失敗しているが、財投を含めたトータルでみると、小泉時代に国の借金の積み増しはほとんど足踏み状態と言えないでしょうか。

グラフにしてみましたので、どうかトラックバック先をご覧下さい。

 
 

2009/10/12 15:49

Commented by 田村秀男 さん

To 故郷求めてさん
>小泉時代に国債発行残高が278兆円増えたというのはどこから取った数字でしょうか?
http://www.mof.go.jp/1c020.htm
を参照してください。
小泉内閣発足時のH13年6月末と退陣時のH18年9月末の国債発行残高を比較しています。
田村

 
 

2009/10/12 15:51

Commented by 田村秀男 さん

To 故郷求めてさん
>小泉時代に国債発行残高が278兆円増えたというのはどこから取った数字でしょうか?
http://www.mof.go.jp/1c020.htm
を参照してください。
小泉内閣発足時のH13年6月末と退陣時のH18年9月末の国債発行残高を比較しています。
田村

 
 

2009/10/12 20:24

Commented by 故郷求めて さん

田村さん

2つの数字を様々加減しましたが、278兆円と言う数字が出せません。国債発行残高は、財投債を小泉内閣発足時と退陣時で同一視してはいけないのではありませんか?

財投資金の預託残高まで加えた総額を弊ブログで拾ったのですが、それについてはどう思われますか?

 
 

2009/10/12 20:32

Commented by 故郷求めて さん

財投改革の過程で、預託金と言う借金を財投債と言う借金に切り替えています。

つまり、財投においては国債が増えた分、預託金を減らしているんです。これは、プラマイゼロです。

それを、単に「国債残高の増加」と言ってはいけません。合計すれば、小泉時代に借金はほとんど増えていないんです。これを小泉首相の手柄にしようとは思いません。でも、「小泉時代に借金が膨大に積み上がった」というのは間違いだと思います。

 
 

2009/10/12 20:37

Commented by 故郷求めて さん

http://nerituti.iza.ne.jp/blog/entry/1265475/
違ってますか?

 
 
トラックバック(6)

2009/09/21 17:36

市場原理主義の放棄を [酔うぞの遠めがね]

 

サンケイエクスプレスより「【国際政治経済学入門】新政権は「デフレ病」を退治できるのか」 民主党主導の連立政権がスタートした。政権交代の真の意義は、自公政権が不作為に終始したデフレ病克服にある。 鳩山政権…

 

2009/09/21 18:17

田村記者の無知を再び指摘する、、、オバマのケインズ政策は無意味だった [自民党は地方農村党に改名せよ]

 

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/3ede6e5d0f50b3c5138da2ce6e9e1d3b クルーグマンは効率的市場仮説(EMH)を批判しているが、それを理解してないようだ。彼は「経済学者がバブル崩壊を予想できなかった」というが…

 

2009/09/22 20:07

「地域間格差はもっと拡大すべきだ」、、、必読 [自民党は地方農村党に改名せよ]

 

http://agora-web.jp/archives/754164.html 自民党総裁選 では、谷垣禎一氏と西村康稔氏が「小泉改革が地方経済の疲弊や格差を生んだ」と批判する一方、河野太郎氏が小泉改革を継承する姿勢を打ち出し、争点が明確に…

 

2009/09/24 09:41

日経社説、産経記者は勉強しろ [自民党は地方農村党に改名せよ]

 

社説 新政権はまっとうな成長戦略を描け(9/23)  新政権は「生活支援」を掲げ、閣僚たちが具体的な政策に言及し始めている。失業が増え、賃金も下がる一方、社会保障制度への不安が高まるなかで、国民の期待は大き…

 

2009/09/26 09:07

藤井を試すヘッドファンド [自民党は地方農村党に改名せよ]

 

藤井は功を焦って言う必要のない「円高容認」をしている こんなことは黙っていれば自然に動くものを わざわざしゃべるから投機資金が入り始める 急激な円高は結局は国内経済の不安定を招く 藤井は金融当局の責任者と…

 

2009/10/11 19:21

小泉時代に国の借金は増えたか [誇りはどこにある]

 

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/saimukanri/2006/saimu02b_04.pdf より引用します。 おそらく、一部の論者が「小泉時代(平成13〜18年)に国債発行残高は加速度的に上昇した」と言うのは上のグラフの合計…