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ユーロ危機でドル復権 最大の敗者は日本

2012/02/01 10:07

 

SANKEI EXPRESS 2月1日から

 【国際政治経済学入門】ユーロ危機でドル復権 最大の敗者は日本

 欧州共通通貨ユーロの危機がおさまらない。ユーロ危機とは何なのか。だれがその勝者なのか。敗者ナンバーワンはどこか。
 まず、グラフをみていただこう。ユーロ建ての国債が広がった2002年以降、08年前半までの推移をみると、加盟各国の国債利回りは大差なく、一束の折れ線となって6年間も安定してきた。このユーロ建て国債の束を一発で吹き飛ばし、ばらけさせたのが、08年9月のリーマン・ショックである。
 ■米金融大手が暴露
 「リーマン」は米金融商品バブルの崩壊でニューヨーク発なのだが、紙くずになりかけた住宅ローン担保証券など証券化商品やそのリスクを引き受ける保険である「デリバティブ」の多くを保有していたのが欧州の金融機関だった。
 欧州の金融機関は信用不安のためにドル資金を調達できなくなり、米連邦準備制度理事会FRB)にドル資金の緊急融通を頼むしかなかった。国際的な貿易や資本取引の主要決済通貨、つまり基軸通貨としてドルを猛追していたユーロの凋落(ちょうらく)が始まった。
 それでも、09年に入るとユーロ相場はいったん持ち直した。米FRBがドル札を大量発行する量的緩和政策に踏み切り、ドル安への誘導を始めたからだ。このドル下落をみて、日本国内では一挙に「基軸通貨ドル体制の崩壊」論が盛んになったが、覇権国米国はそんなにやわであるはずがない。
 米国は次のステップに踏み出した。米金融大手は、ユーロ本来の致命的な弱点をさらけ出し、危機はドルではなくユーロだ、というまぎれもない証拠を暴露したのである。
 標的はまず、ギリシャである。09年12月ごろからギリシャ政府の債務の過大さや放漫財政、公務員天国、過大な年金給付制度など構造問題が表面化し、ギリシャ国債相場の下落が始まった。国債信用失墜の決め手になったのは、09年2月中旬ゴールドマン・サックスが米ヘッジファンド業界の大物、ジョン・ポールソン氏率いる投資グループ代表団をアテネに案内し、ギリシャ政府の高官たちに引き合わせた「事件」である。2月17日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の記事は、この米投資グループのアテネ入りに引っかけて、「ゴールドマンを筆頭とするウォール街の大手投資銀行がギリシャを含むユーロ圏諸国の債務関連統計の操作に長らく手を貸してきた」と報じた。ギリシャは01年にユーロに加盟した。翌年、「ゴールドマンはアテネの金融街に突然姿を現し、GDP国内総生産)を上回る水準のギリシャの公的債務の資金調達コストを引き下げる大規模なデリバティブ取引をアレンジした」(FT紙)。円建てやドル建てで発行されていた債券を市場外でユーロと交換する「スワップ」と呼ばれる手法を使って債務を帳簿外に飛ばす操作を行った。この取引は借り入れではなく為替取引として扱われたため、欧州連合EU)の定めた財政赤字の基準をギリシャがクリアしながら返済を将来に先送りするのに役立った。同じような取引はイタリア、ポルトガルなど他の南欧諸国も行っているとFT紙は明らかにした。
 ゴールドマンやJPモルガン・チェースなど米金融大手は南欧諸国の政府債務の「飛ばし」を伝授するのと引き換えに、空港使用料や宝くじの収入を担保として設定した。ゴールドマンの場合ギリシャから300億円以上もの手数料を稼いだ。その半面で、ギリシャなどの債務は減るどころか隠れ債務が膨れ上がった。
 ギリシャ政府は米金融大手に手玉にとられたのだが、国際金融市場ではギリシャなどユーロ加盟の南欧各国の財政危機の底知れぬ深淵(しんえん)を見てとり、ギリシャを筆頭に国債の暴落、そして政府債務危機が急速に進行していく。
 ■円高・デフレの泥沼
 危機のプロセスの最大の勝者は、米国である。ユーロに対してドルは強く安定し、ユーロ債から逃げ出したマネーは米国債に回り、米国債の利回りは低下し、米政府の債務利子負担を引き下げている。FRBはリーマン後、ドルを3倍も刷って垂れしたが、米国インフレにもならず、株価は回復軌道に再び乗った。次の勝者はドイツだろう。ユーロ安でドイツの輸出産業は息を吹き返している。
 対照的に、最大の敗者は日本だ。ユーロ債を売却した投資家は日本国債にまわり、超円高を進行させている。デフレ不況はさらに進み、輸出は不振、マイナス成長が続く。円高・デフレの泥沼に日本ははまりこんだまま、抜け出せない。
 (特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)
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10:00~17:00(土、日、祝日を除く)
 

カテゴリ: マネー・経済  > 金融    フォルダ: 田村秀男の国際政治経済学入門

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2012/02/01 11:42

Commented by takexan さん

>危機のプロセスの最大の勝者は、米国である。次の勝者はドイツだろう。対照的に、最大の敗者は日本だ。  

  
国家興亡の決め手は、国家内部の団結力である。歴史がそれを証明している。
日本の現状はどうか。日本国内の団結は失われている。国内の状況は、カネの動きを見ただけでも、一目瞭然である。日本経済の衰退と、日本の資金の海外への飛ばしは同期している。  
  

企業、家庭の剰余資金は国外に飛ばされている。これだけ円高になっては、国内製造業はやっていけない。赤字覚悟で、国内の雇用を守るためだけに、企業を存続させている。多くの資金が海外へ飛ばされ、日本人がかろうじて生きていける資金だけで、日本人は生きている。
 
 

政府は日本人の雇用を守り、日本人の生活を守るべき所を、増税、為替取引、米国債購入により、これまた国内資本を海外に飛ばすことに熱中している。
  
 
この状況を国内マスコミが報じないのは、変ですね。日本マスコミは米諜報機関の下部組織と言う指摘もあるが、確かなことは分からない。マスコミがこのように体たらくでは、日本人の団結は望みようが無いでしょうね。

 
 

2012/02/01 12:11

Commented by ~こめんとするあほぅ♪です さん

田村さんがリーマンショックの時にこの記事を書いていれば今では超有名人になっていたのに惜しいイなア。

アメリカはドル紙幣を刷れば良いと高を括っているのだろうがそうは問屋が卸さない。対策は今後は米国債を買わないドルを持たないだ。

 
 

2012/02/01 17:54

Commented by the-prayer さん


為替介入する金があるのなら、資源の先行投資をしたほうがよいと思います。日本国企業もせっせと外国企業を買収しているし、海外の製造拠点を作っています。
政府の打つ手はないですね。
ということは、人口減を逆手にとるしかないのだと思います。GDPは、いくら小さくなっても問題はないです。必然的に、国土のリストラをするしかないのだと思います。日本国は、負けてはいないと思います。
EUの危機で世界が恐慌状態になっても、日本国は、生き残れます。島国だから。

 
 

2012/02/02 12:27

Commented by susanoh さん

新聞紙面はじめ、いつも勉強させて頂いております。
さて、記事とは関係ないのですが、田村様に年金問題について、ひとつ新聞紙面で突っ込んで頂きたい事があります。
私は以前から第三号被保険者について、いずれ無理が来るという考えでおりました。ほんの少しだけ考えただけで、分かる事だと思うのです。一銭も払わず年金が貰える、この世の天国の国が日本です。
しかし残念ながら、損になる事は誰も言いません。最近eアンケートで産経さんが取り上げた位でしょうか。現役世帯の九割が給与所得では、政治家も票を失うので突っ込みませんし、なおさら給与所得者は損をするので触れたがりません。情けないです。
基礎年金分の月々15,020円×数千万人。デカイです。長らく日本国民も甘え過ぎて来ました。国があってこその国民です。もうここらで国思うマトモな国民にならねばならぬと思うのです。
田村様も損をする事でしょうが、ひとつ宜しくお願い申し上げます。

 
 

2012/02/02 19:51

Commented by ana5 さん

大手銀が国債売却シナリオを警戒、外債損失なら合わせ切りも
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE81K1WA20120202?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0
財務省が2日実施した10年物の国債入札で、懸念された都市銀行から通常以上の応札がみられ、その倍率は昨年4月以来10カ月ぶりの高水準を記録。依然として消去法的に買われる構図が崩れていないことが鮮明となった。

だが、米国金融緩和期待が先行したことで価格が歪められているとの懸念も残り、市場では高値警戒感が強い。2010年11月の米債急落で日本国債が損失穴埋めに使用された経緯もあり、国債利回りが一本調子で低下するかどうかは不透明感が漂う。

財務省が2日実施した10年物の国債入札(表面利率は年1.0%、320回債と銘柄統合)は、最低落札価格が100円32銭、平均価格が100円33銭となり、その差が開くほど不調とされる「テール」は、わずか1銭にとどまった。
・・・・・・・・
今後の動向を見通すうえで重要なのは「外債投資の含み損益の状況」(邦銀)との声もある。FRBがQE2に踏み切った2010年に過剰な緩和期待がはげ落ちて米国債相場が急落。邦銀勢の債券ポートフォリオを直撃し、評価損を抱えた一部銀行が日本国債の含み益で損失を相殺する「苦渋の選択」を迫られた経緯があるからだ。

みずほや三井住友、三菱東京UFJなどが1日までに発表した決算資料や金融機関へのヒアリングによると、昨年12月末時点における大手金融グループの国内債券の含み益は4000億円程度だが、外国債券は1000億円程度となっており、「外債の評価益が損失に変わった時点で含み益のある日本国債を売却して損失を相殺したり、これ以上の金利リスクを取れず、債券購入を控えざるを得ない事態になる」(国内金融機関)との声もある。

 
 
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