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新プラザ合意の予感

2008/10/10 08:54

 

 日本のバブル崩壊後のデフレ不況時に、米国の著名経済学者たちは、「ヘリコプターでお札をばらまけ」と口をそろえて言った。もともとは、マネタリストの大御所、ミルトン・フリードマン教授の学説なのだが、ポール・クルーグマン教授が日本に勧告した。もっとも有名なのが現在の米連邦準備制度理事会FRB)のベンジャミン・バーナンキ議長で、2002年11月、FRB理事時代の講演でしゃべったことから、「ヘリコプター・ベン」というあだ名を市場から頂戴した。ノーベル経済学賞学者のジョセフ・スティグリッツ教授も2003年4月に「日本は政府紙幣を発行せよ」と説いたが、ヘリコプター・マネーと発想は共通している。


 金融危機が深刻化している米国では今、ヘリコプター・ベンがまさしくドル札を大量に刷り、市場にばらまいている。巨大な不良金融資産を抱えた金融機関が疑心暗鬼になった短期金融市場でドル資金を調達できないからだが、FRBのデータをみると、ドル資金追加供給量はすさまじい。10月1日時点でのFRBの融資などによる資金供給残高は1兆5331億2800万ドルで、米住宅金融の本丸である連邦住 宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)経営不安、リーマン危機の始まる前の8月28日時点の9437億2500万ドルに比べて、5894億ドル、64%増。前年同期比で5271億ドル増だから、この一ヶ月余りで一年分をはるかに上回るドル資金を刷っては市場にしたことになる。ちなみにその一年前は年間で327億ドル増やしただけである。


 それでも、まだドル資金は足りない。米議会ですったもんだの揚げ句、成立した7000億ドルの不良資産救済プログラムも不良資産の買い上げ価格が不明な上に、財源手当に不安がある。米国債財務省証券)の発行残高は年間で5000億ドル増加してきたが、財政赤字補填や借り換え債需要も加えると、2009年度(2008年10月——09年9月)は空前絶後、1兆5000億ドルの財務省証券発行規模になるとウォール街アナリストはみている。この市場消化は極めて難しい。


 米国債の保有シェアの77%(08年6月末)がFRBなど米政府機関と外国が占めている。国債相場は今のところ、ドル資金供給のためのFRB国債買い上げや安全資産へ逃避する大口投資家の購入で安定しているが、ドル安がこのまま進行すれば、資産価値の目減りを恐れた中東産油国などの政府系ファンドは敬遠しよう。FRBも自身の財務内容が悪化するので財務省証券の購入には限度がある。


 こうみると、頼みは政治的意思により、米国債を買う決断ができる各国の政府機関が「最後の貸し手」になるしか、道は残されてはいない。となると、外貨準備を増やしている産油国中国に期待が集まる。ところが産油国中国もドル資産の目減りに苦しめられており、おいそれとは引き受けない可能性がある。


 では同盟国日本はどうかと言うと、民間金融機関に余剰資金があふれているとは言え、円高の進行に伴う為替差損を被るリスクが大きい。1987年の「ブラックマンデー」後は大蔵省(現財務省)が生保と並んで郵貯を米国債購入に仕向けたが、今では郵貯も公社化され、リスク資産に突っ込むわけに行かない。


 結局、政府・日銀がドル買い介入することで米国債を購入するしかない。日銀はその分資金を市場に流すわけで、それを市場オペで吸収しない限り、量的金融緩和が進む。つまり、日銀は円札を刷って、ドル国債を買う。政府・日銀は大規模なドル買い介入を通じて、米国に対する最後の貸し手の役割を果たすわけだ。


 現実問題として、日本のドル買い介入は不可避である。第一に垂れ流されるドルを買い支えないと、いずれドルは暴落危機に発展しよう。ドルが暴落したときには国際金融システム全体が破綻しかねない。もうひとつは急激な円高・ドル安の進行に歯止めをかけないと、日本の景気の先行きがますます悪くなる。円高が株売りをさそう現状からみても明らかだ。


 日本はこのまま無為無策を続けるわけにいかない。米金融危機はすでにグローバル化し、さらにドル暴落不安が起きかねない。ドル暴落こそは、グローバル危機の最終到達点である。日本は欧州のみならず、中国などアジアを誘い込んでドル安定のための国際協調を主導する「新プラザ合意」の準備に取り掛からなければならないだろう。



カテゴリ: マネー・経済  > 金融    フォルダ: 田村秀男の国際政治経済学入門

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コメント(11)

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2008/10/10 09:30

Commented by Cosplay さん

田村記者、おはよう御座います。

ごめんなさい、本当にstupidな質問を聞かせて頂きたい。


”ヘリコプター・ベンがまさしくドル札を大量に刷り、
市場にばらまいている。”
普通の商品として紙幣(アメリカドル)を理解すると、
多くなる場合、安くなりますね。
つまり、100円1ドル⇒50円1ドルという傾向ですね。
この傾向を止めるには、ドル紙幣商品に対するニーズが
多くなれば、何とか安くなる傾向を止めるという考えですよね。
例えば、100円1ドル⇒70円1ドルまで止められることを考えます。

従って、日銀、中国銀行は、アメリカの国債を買うのは、
ようするに、日本と中国、以外の国でも今から、アメリカの製品を
幾ら買っても間に合わなく、政府代わりに、先に頭金をアメリカ
支払うことですよね。

日銀、中銀などは、これから自国のやつに、「アメリカ製品を買え」
という為に、100円1ドル⇒70円1ドルを容認して、日本円が高くなり、
日本人も外車を買うように、外国へ旅行をしたりなります。

そうすると、時間をかけて、今の問題を何とか解決出来ますか

 
 

2008/10/10 09:39

Commented by Cosplay さん

stupid質問の続き


「連邦住宅抵当金庫と連邦住宅貸付抵当公社経営不安、リーマン危機など」
何故、紙幣ドルが足りない状況になるでしょう。

米金融市場が崩壊ということは、現金が溢れてしまうと思い込み、
何故金が足りないでしょうか、
銀行など、いままで長い間で凄い儲かったでしょうか
倒産で、2,3期の赤字で潰れるでしょうか、今まで儲かった金を
どこに隠しているでしょうか

とにかく、「ヘリコプターでお札をばらまけ」を理解できなかった。

お時間が御座いましたら、先輩でもいいから、教えてください。

 
 

2008/10/10 10:29

Commented by Cosplay さん

To tenyoufoodさん
>、
>  素人考えで良ければ読んでくれ
先輩、本当にいつも有難う御座います。
素人、しかも馬鹿な素人でも分かるようにして頂きたい

>
>1)日銀、中銀などは、これから自国のやつに、「アメリカ製品を買え」..........先ず、アメリカが外国から買えるようにすることです。君の意見は、それからのことです。

そうだね(分かっていないけれど、あまりに恐ろしい先輩の気概により)


>
>2)今まで儲かった金をどこに隠しているでしょうか.......貸した金が戻ってこなくなって、儲かるあてが外れた、ということではないかな。
>
小生も家のローンをしており、これは分かった。


>君は「今まで誰が儲けた」と思っているのか訳もわからないで書いているならもう一度考え直したらどうだい。

先までは、サブプライムローン証券化商品で銀行や証券会社がすげえ
儲かったではないと思いました。

だって、東京でも3,4年前から、”証券化住宅ローン”なんか言葉を聴いた記憶があります。

あるいは、何とか住宅を投資するファンドが金を集まったとか、
凄い儲かった情報は少々、耳に入りました。

ということは、あいつらは、利息ぐらいをよくもらった時期があったけれど、今度は、元が全部を失ったことですか

 
 

2008/10/10 10:40

Commented by Cosplay さん

To tenyoufoodさん

先輩、古森記者での書き込みは、小生のお陰で
先輩のコメントが消えたけれど、ご意見自体の記述は
残っているよ、

最近、先輩あまりにも怒るなよ
小生には、先輩は最高なレビューアだから、
いえ、小生のレビューアではなく、
イザ記者のレビューアです。

だから、すこしでも気前がよくして頂きたくと思います。
大変僭越な言葉を申し上げるのは、承知ですが、

先輩でも、少々老人症が出始めましたよ
イザを楽しもう

その為に、ステージに残さなければ話がならん
だって、先輩は、何のためではなく

頭の体操みたく、イザを遊んでいるでしょう

 
 

2008/10/10 10:51

Commented by Cosplay さん

To tenyoufoodさん

>「元」は預金だから、誰が損するのかな?
>
>これから先は専門知識のある人にバトンタッチ。
この先、小生でも判る。
1千万の預金保険を引き上げよう?
あれ法律でしょうか

税金でやるよね。
citybankなどでの外貨預金は、仕方がないな

そこにアメリカに騙されたね

 
 

2008/10/10 13:25

Commented by Cosplay さん

To tenyoufoodさん
>------------
>先天性痴呆症です。
それは、僕です。

 
 

2008/10/10 14:59

Commented by Cosplay さん

To tenyoufoodさん

>保険も年金も投信も社債も国債も(これらは元本保証がない)。
>今日は、大和生命が倒産した。
>今年になって不動産業の倒産が相次いでいる。
>東証の取引停止は遅すぎた!
>一万円を切った時点で、即停止すべきだった。

そうだね、恐ろしいです。
先輩に明確に言われないと、小生はまた遊びの気分で居られるが、
今は、さすがにやばいと思いました。

先輩、いつもありがとう

 
 

2008/10/10 15:14

Commented by 巴さろん さん

>Cosplayさん、竹中平蔵さんたちは、今年のお盆前までに、株式は売却ずみだそうです。いつも、ババを引くのは小心な信用取引舎みたいね。

 
 

2008/10/10 18:43

Commented by staro さん

巴さろんさん

>竹中平蔵らがお盆までに株式売却

このソースはどこですか?

 
 

2008/10/11 09:01

Commented by 六次元 さん

大量にドルをばらまけば、金融機関を決済資金不足による黒字倒産から救うことはできますが、金融システムの崩壊はどうしようもないはずです。

アメリカは今までのようにドルを自国に還流させる手段を失ってしまいました。
長期的に見れば、ドル安は避けることはできません。

日本は大量に保有する米国債の目減りを防ぐためにも、ドルを買い支えるしかありませんが、言われるままに支えるのではなく、日本がイニシアティブを取る必要があります。
円を基軸通貨の一翼を担う地位まで高めるチャンスだと思います。

 
 

2008/10/11 09:36

Commented by 酔うぞ さん

To 六次元さん
>大量にドルをばらまけば、金融機関を決済資金不足による黒字倒産から救うことはできますが、金融システムの崩壊はどうしようもないはずです。
>
>アメリカは今までのようにドルを自国に還流させる手段を失ってしまいました。
>長期的に見れば、ドル安は避けることはできません。

同感です。
今回の金融危機は、超短期、短期、長期と分けて考えると行ったことが必要だと思います。

特に、超短期・短期の問題を解決すれば、当面は元に戻って問題がなくなる、とはならないところが非常に重要でしょう。

わたしはアメリカの自動車製造業(ビッグ3)がちょっと前に公的資金が必要だと言った事が、どうなるかが極めて重要だと思っています。

 
 
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2008/10/11 03:27

【世界は市場】万国の産業人よ投資せよ(笑)。【資本は国境を越える】 [つれづれすくらっぷ]

 

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